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廃除

勘当した息子には、あるいは自分を虐待した妻には自分の財産を相続させたくない。このように考える方もいらっしゃるかもしれません。民法では、自分の望まない推定相続人から相続権を剥奪する制度として廃除を規定しました。

どのような場合でも自由に廃除できるかと言うと、そうではなく次の事由があった場合とされています。

  • 虐待
  • 重大な侮辱
  • その他著しい非行

上記の様な行為が推定相続人から被相続人に対してあった場合には廃除が認められます。単に仲が悪い、気に入らないという理由だけでは認められないでしょう。推定相続人の廃除は生前に家庭裁判所に申立てるか、遺言によって行います。

廃除原因となるような「重大な侮辱」とは、家族として共同生活を行うことが不可能になるほど、被相続人の名誉や自尊心を傷つけるもの、とされています。

これはかなり主観的なものですし、こういう行為であれば廃除される、というような一定の基準を設けることは困難です。

判例では、

廃除は、被相続人の主観的、恣意的なもののみであってはならず、相続人の虐待、侮辱その他の著しい非行行為が客観的に重大なものであるかどうかの評価が必要となる。その評価は、相続人がそのような行動をとった背景の事情や被相続人の態度及び行動も斟酌考量したうえでなされなければならない。

としています。

仮に息子から侮辱を受けたからといって父親が息子の廃除を申し立てても、息子がそのような行動に出ざるを得ないような原因が父親の側にもあったとしたら、申し立てが認められない可能性があるということです。

例えば、高圧的な態度で長年父親から抑えられてきた息子が、飲酒によって鬱積した感情が爆発し父親に対して侮辱をはたらいたとしても、それは一時的なものであるし、その原因は父親の側にもあるでしょ、だから廃除は認められないよ、と言うことです。

もっとも、ただ気に入らないから、というのは論外ですが。

生前廃除

推定相続人の廃除を望む被相続人は、家庭裁判所に対してその旨を申立てます。被相続人が被廃除者の法定代理人であるとき(未成年者である子を廃除する場合など)は、特別代理人の選任が必要です。

家庭裁判所において、調停が成立又は審判が確定した日から10日以内に申立人は「推定相続人廃除届出」を届け出なければなりません。

遺言による廃除

推定相続人の廃除を遺言でしようとする場合は、誰を廃除するのか、なぜ廃除するのかが明確に記載されている方が望ましいでしょう。「あんな放蕩息子にはわしの財産は1銭もやらん」という内容の遺言でも、家庭裁判所は生前の事情を考慮して廃除を認める場合もありますが、やはり廃除の理由は明確にしておいた方が認められる可能性は高くなります。

遺言での廃除においては、申立人は遺言執行者です。遺言執行者は遺言が効力を生じたら、遅滞なく家庭裁判所に廃除の請求をしなければなりません。遺言執行者がいない場合は、家庭裁判所に選任してもらいます。生前廃除と同様、審判の確定の日から10日以内に遺言執行者は推定相続人廃除届出を提出しなければなりません。

廃除の取消

被相続人はいつでも廃除の取消を家庭裁判所に請求できます。また、遺言による廃除の取消もできます。

最終更新日::2007年06月19日

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