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公正証書遺言

現在規定されている遺言の方式の中で公正証書遺言は最も安全で確実なものです。当事務所が最もお勧めする方式です。ただし、以下のようなデメリットがあります。

  • 費用がかかる
  • 100%秘密にすることは不可能

公証人というプロに依頼する以上費用がかかってしまうのは致し方ないでしょう。公証人と証人には手続上遺言の内容を知られてしまいます。しかし、このようなことを補えるメリットがあります。

  • 公証人が内容をチェックしてくれるので、趣旨の不明などの理由で遺言が無効となる恐れが無い
  • 原本が公証役場に保管されますので、偽造、変造、破棄、隠匿の恐れが無い
  • 家庭裁判所による検認が不要
  • 署名さえできれば作成可能

手順

遺言内容の整理

まず自身の財産を把握し、どのような内容にするか、財産の配分をどうするかを整理しましょう。

証人を2人選ぶ

証人になってくれる方を2人以上選びます。推定相続人や未成年者などは証人にはなれませんので注意しましょう。証人は遺言の内容を知ってしまいます。行政書士には守秘義務がありますので、行政書士に依頼すると安心です。

遺言執行者の指定

遺言執行者は指定しなくても構いませんが、遺言を確実に実行して欲しいのならば、見識があり信頼のおける人物に遺言執行者を依頼した方が確実性は増します。

遺言執行者には遺言を確実に執行する義務が生じます。未成年者、破産者は遺言執行者にはなれません。

公証役場へ依頼

遺言内容が決定したら公証役場へ依頼し、公証人と日時などを打ち合わせます。自宅の近くにある公証役場で構いませんし、全国どこの公証役場に依頼しても大丈夫です。

必要書類の準備

作成にあたって必要な書類を準備します。

  • 遺言者の印鑑証明書・戸籍謄本
  • 受遺者の戸籍謄本・住民票
  • 財産特定のための不動産の登記簿謄本・固定資産評価証明書
  • 預金通帳のコピー
  • 証人になってもらう方の住民票

などが必要になります。公証人に確認しましょう。

公証役場に出向く

打ち合わせた日時に、証人二人と共に本人が公証役場に出向きます。公証人に遺言の内容を口述し、公証人はそれを筆記します。公証人は記録した文章を本人と証人に読み聞かせたり見せたりして確認を求めます。本人と証人は内容を確認したら署名・捺印をします。これに、公正証書遺言の形式に従って作成した旨を公証人が記載し、署名・捺印すれば完成です。

費用

公正証書遺言を作成する際に、公証人に支払う費用は公証人手数料令により以下の表のように定められています。価額は時価が基準となりますが、不動産の場合は評価額などを参考にして公証人が算定します。相続人、受遺者ごとに基本手数料を算定し合算します。遺産合計額が1億円以下の場合は基本手数料の合算額に11,000円が加算されます。

公証人手数料
相続・遺贈額手数料
100万円まで5,000円
200万円まで7,000円
500万円まで11,000円
1,000万円まで17,000円
3,000万円まで23,000円
5,000万円まで29,000円
1億円まで43,000円
以下超過額5000万円ごとに
3億円まで13,000円加算
10億円まで11,000円加算
10億円超8,000円加算

この他にも正本・謄本代などがかかります。

様々なケース

入院中などで公証役場に行けない、言葉が不自由で公証人に遺言内容を話すことができない、公正証書遺言を作ろうと思っても今の状況ではひょっとして作ることが出来ないのではないか、とお思いの方がいらっしゃるかもしれません。しかし、それぞれの状況に応じて公正証書遺言を作成することが可能です。

公証役場に行くことが困難

病気療養中や長期入院中、また、高齢のため公証役場に行くことが非常に難しいような場合には、多少割高になってしまいますが、公証人に依頼し病院や自宅に出張してもらいましょう。証人を頼んだ方にも病院や自宅に来てもらいます。そして出張してもらった場で証人立ち合いの下、公正証書遺言を作成することになります。

公証人に出張を依頼すると手数料が通常の5割増しになります。また規定の日当、交通費も支払う必要があります。

耳、言葉が不自由

耳が不自由な方、言葉が不自由な方でも公正証書遺言を作成することができます。公正証書遺言を作成する際に遺言者は遺言の内容を公証人に話すわけですが、言葉が不自由な方は手話などで通訳を介して、あるいは紙に書いてこれを述べることが認められています。

遺言者又は証人の方が耳が聞こえない場合は、公証人筆記した遺言の内容を通訳などを介して聞かせることも認められています。

公証人は上記の様な方法をとった場合、その旨を公正証書遺言に記載します。

成年被後見人

成年被後見人の方は、通常の精神状態に回復した時に、医師二人以上の立ち合いの下であれば公正証書遺言を作成できます。

立ち会った医師は、成年被後見人が事理を弁識する能力があったことを遺言書に付記して署名・押印しなければなりません。

公正証書遺言が無効となるケース

公正証書遺言といっても絶対ではなく、無効となるケースがない訳ではありません。

ある事例では、亡くなった方が公正証書遺言を作成した当時、重度の痴呆状態であり、遺言能力を欠く、つまり自分が作成する遺言によって生じる結果について判断することが出来ないような状態であったため、遺言が無効とされました。

また、公正証書遺言の場合公証人に遺言の内容を口授しなければなりませんが、ある事例では、遺言する人が遺言の内容を一言も発することなく公証人の質問に対してただ頷いていただけというような場合に、これでは口授とは言えないとして遺言が無効となりました。

ただし、このような事例があるとはいっても、限られた事例があるだけで、ほとんどのケースでは公正証書遺言が無効となる可能性は低いでしょう。

最終更新日::2007年10月31日

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