相続財産の評価
相続財産の調査で作成した一覧表にリストアップした個々の財産について、正確な評価をする必要があります。遺産分割の目安にもなりますし、相続税の計算にも必要となります。
相続財産の全てが現金であるならば簡単です。その金額が相続財産の評価額となります。しかし、そのようなケースは稀で、土地、建物、美術品などのすぐに評価することが難しい財産が含まれている事がほとんどだと思います。
相続財産の評価は時価によると相続税法では定められています。しかし、被相続人の死亡時と、10ヶ月後の相続税の納付期限との間に、時価が変わってしまう事もあるかもしれません。そこで、時価を評価する日を相続開始日と定めています。また、実務上その評価方法は財産評価基本通達に示された基準に基づいて評価をし、相続税を計算します。
遺産分割については期限がありませんので、実際の遺産分割は相続開始からかなり時間が経過することもあります。そのため遺産分割については、遺産分割時点での時価ということになっています。その評価方法は特に規定はありませんが、相続税の計算における評価方法が目安となるでしょう。
評価方法
- 土地
土地は路線価方式と倍率方式の、いずれかの方式で評価します。どちらで評価するかは、所在地により自動的に決まります。
- 農地
農地は所在地などにより4つの区分に分類されています。その区分によって評価方法が異なります。
純農地 倍率方式 中間農地 倍率方式 市街地周辺農地 市街地農地の80%相当 市街地農地 宅地比準方式または倍率方式 - 山林
山林の評価方法は農地と似ており、所在地に応じて3つに区分して評価します。
純山林 倍率方式 中間山林 倍率方式 市街地山林 宅地比準方式 - 借地権
借りた土地に家屋を建てて居住し、使用できる権利を借地権と言います。この借地権も相続の対象になります。
借地権の評価額 = 宅地の通常の評価額 × 借地権割合 借地権割合は国税局により定められており、路線価図の地域区分によって決まります。
- 地上権
他人の土地を利用できる権利です。借地権と異なり地上権は、土地所有者の承諾無しに譲渡または賃貸することができます。
地上権の評価額 = 宅地の評価額 - 権利の残存期間に対応する割合 - 貸宅地
貸宅地は土地所有者であっても、借地権や地上権のために自由に処分することができません。その分評価額は下がります。
貸宅地の評価額 = 宅地の通常の評価額 × ( 1 - 借地権割合 ) - 定期借地権
普通借地権とは異なり契約更新がなく、契約期間満了時には地主に返還されます。そのため普通借地権とは評価方法が異なります。
定期借地権の評価額 = 宅地の通常の評価額 × 定期借地権設定時に借地人に帰属する経済的利益の総額 × 定期借地権の残存期間年数に応ずる基準年利率による複利年金現価率 定期借地権設定時におけるその宅地の通常取引価額 定期借地権の設定期間年数に応ずる基準年利率による複利年金現価率 - 貸家建付地
貸家建付地は自分の所有する土地にアパートなどを建て、その建物を他人に賃貸している土地です。この場合、相続が発生しても借家人にすぐに出ていってもらうことはできませんので、通常の評価額より低くなります。
貸家建付地の評価額 = 宅地の通常の評価額 × ( 1 - 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合 ) - 家屋
家屋の評価額は固定資産税評価額と同じです。
- 貸家
貸家の場合は、居住者の借家権のために通常の家屋の評価額よりは低くなります。
貸家の評価額 = 通常の家屋の場合の評価額 × ( 1 - 借家権割合 × 賃貸割合 ) 上場株式の場合は、証券取引所が公表する相続開始日の次の4つの価格のうち、一番低い価格で評価します。
- 終値
- 相続開始日を含む月の終値の月平均額
- 相続開始日の前月の終値の月平均額
- 相続開始日の前々月の終値の月平均額
非上場株式は会社を、大会社、中会社、小会社に区分してそれぞれ異なった評価方式により評価します。かなり複雑ですので税理士などの専門家に依頼する方がいいでしょう。
- 貴金属や美術品
基本的には時価で評価しますが、その評価は難しいので専門家に依頼する方が無難でしょう。
- 家財道具
中古品として同等品を購入した場合の価格で評価します。分からない場合は、小売価格から30%の範囲内で減額し、使用年数に応じた償却額を差し引いて評価します。
- 自動車
中古販売価格で評価します。
- ゴルフ会員権
原則として、相続開始日の取り引き価格のおおむね70%相当が評価額となります。
最終更新日::2007年06月20日