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相続人の確定

相続が開始したら、誰が法定相続人なのかをきちんと調査する必要があります。遺言書探しばかりに時間をかけてもいられません。相続の放棄や限定承認は3ヶ月という期限があります。また、せっかく遺産分割も終わって、相続手続きも終わって、やれやれというところに新たな相続人が出てくるかもしれません。そうなると遺産分割からやり直さなくてはなりません。

通常は、相続人を家族や親戚同士で確認すると思いますが、それだけでは不十分と言えます。実は故人が密かに認知した子がいた、ということもあるかもしれません。家族が知らなくても、後から判明した場合は遺産分割をやり直さなくてはなりません。このようなことを避けるためにも、戸籍謄本を取り寄せてきちんと確認する必要があります。

必要な書類

相続人を確定するために戸籍謄本が必要なのは当然ですが、戸籍謄本を取り寄せるといっても、現在のものを取り寄せて終わり、というわけにもいきません。相続人を確定するには、故人が生まれてから亡くなるまでの連続した戸籍を調べる必要があります。結婚などによって親の戸籍から出た場合は前の戸籍が必要となり、場合によっては、除籍改製原戸籍なども取り寄せる必要があります。

除籍簿

多くの人は生まれると、親の戸籍に入ります。そして多くの人が結婚するときに、親の戸籍から出ていきます。また、筆頭者やその配偶者である親もいずれは亡くなります。こうして全ての人が死亡や結婚などで抜けてしまった戸籍はどうなるのでしょうか。捨てられてしまうのでしょうか?そうではありません。全ての人が抜けてしまった戸籍は除籍と言い、戸籍とは別にひとまとめにされ、これを除籍簿と言います。

改製原戸籍(かいせいげんこせき)

戸籍は法令によって何度か改製されています。主なものでは、昭和32年に家単位から家族単位に改製され、平成6年にはコンピュータ化に伴う改製が行われました。実際に改製が行われたのは地方自治体によって異なり、コンピュータ化においてはまだ実施されていない自治体もあります。

この改製原戸籍がなぜ必要になるのでしょうか。実は改製される前の戸籍と、改製された後の戸籍では異なる場合があるからです。戸籍は改製される際に全ての事項が改製された戸籍に記載されるわけではありません。現に効力のある主な事項しか記載されないのです。

例えば、Aさん夫婦に子供が3人いたとします。この場合Aさんを筆頭者とした戸籍には夫婦と子供の名前が記載されています。その後子供が成人し、3人とも結婚などで親の戸籍を出たとします。この時点では子供の名前は記載されており、その理由が明記されています。その後戸籍の改製が行われた場合、実は子供3人の名前は記載されず、夫婦の名前しか記載されません。これではAさんが亡くなった場合、現在の戸籍だけでは誰が相続人なのかわかりません。改製原戸籍を取り寄せて、初めて子供達がAさんの相続人であることが証明できるのです。

現在では、相続人の調査で、多くの場合この改製原戸籍が必要となります。

相続の欠格

たとえ法定相続人であっても、法定された欠格事由に該当する場合は相続人となることができません。これを相続欠格と言います。

  1. 故意に、被相続人または、自分より先順位もしくは同順位の相続人を、死亡させたり、または死亡させようとしたために、刑に処せられた者
  2. 被相続人が殺された事を知っているにもかかわらず、これを告発、告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がない場合や、殺害者が自分の配偶者や直径血族であった場合は除きます。
  3. 詐欺、強迫によって、被相続人が遺言の作成、取消し、変更することを妨げた者
  4. 詐欺、強迫によって、被相続人に遺言の作成、取消し、変更をさせた者
  5. 被相続人の遺言書を偽造、変造、破棄、隠匿した者

欠格事由に該当する場合、特別な手続きを経ることなく当然に相続人の地位を失います。また、遺言で遺贈されることが指定されていたとしても、受け取ることができなくなります。ただし、相続人となれないのは欠格事由に該当する者だけであって、その者に子や孫がいる場合は代襲相続(だいしゅうそうぞく)をし、その子などが相続人となります。

遺言書を隠すと

遺言書を隠したりするとどうなるでしょうか?

遺言書を隠すと欠格事由に当たるので、本来であれば相続人の地位を失いますが、そうならなかった事例もあります。

平成9年1月28日の最高裁で、

遺言書の破棄又は隠匿行為が相続に関して不当な利益を目的とするものでなかったときは、これを遺言に関する著しく不当な干渉行為ということはできず、このような行為をした者に相続人となる資格を失わせるという厳しい制裁を課することは、民法891条5号の趣旨にあわない

というような判決が出ました。

つまり、遺言書を捨てたり隠したりすることは、それだけで相続人の地位を失うことはありませんよ、捨てたり隠したりしたことが、わざとで、しかも不当な利益を得ようとか不利益を逃れようというような動機や目的がなければ欠格事由に該当しませんよ、と言っています。

もちろん、不当な利益を目的としたものではないことを、そう主張する側が証明する必要はあります。

最終更新日::2007年06月19日

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